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パッと打ってすぐに送ったけどなかなか返事は返ってこなかった。私が一人、焦りすぎていたのかもしれない。結局その日は、布団で目を閉じてからも彼からの返事は無かった。
翌朝、私は雨樋が流す水音に耳をすませていた。音はうねりを伴って大きくも小さくもなりながらゆっくりと絶え間なく私の中を通り抜けていく。薄暗い部屋の中で私は雨を体感していた。
しばらくそうしていたら昨夜、閉め切っていなかったカーテンの隙間から淡い光がこぼれた。布団から這い出るとサッと残りを開いて外に顔を覗かせる。
早朝から続く雨は変わらず降り続けているが、強い風でも吹いたのか雲が割れ、白い光が射すようになっていた。
水みたいに薄められた、白と灰のぼんやりと明るい空が私の心を溶かし出したようだった。
幾らか頭も冴え、昨日のメールの返事を確認する、来ていた。返信は短く簡潔にまとまっており駅まで迎えにいく旨が記されていた。私はふっと目を細めると母を手伝うため階下へ降りた。
彼について知りたい事が沢山ある、私について話したい事が沢山ある。窓を振り返ると白い雨筋の中に青空が垣間見えた。今日は良い日になりそうだった。
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