雲の先にあなたは

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彼との出会いは、七年前まで遡る。同じ学科の学生だった彼とは講義で度々隣の席だったことで知り合った。 何回か話すうちに共通の趣味が見つかり、更によく話すようになった。私たちが恋人同士となるのは時間の問題だった。 七年の間、本当に色々あった。彼と遊びに行った遊園地は今でもいい思い出だし、日常の中の些細な喧嘩さえ今となっては……。 今でもよく覚えているのは初めて二人で夏祭りに行った時だ。浴衣で待ち合わせて屋台を見て歩いて気になったところで遊ぶ。 金魚すくい、ヨーヨー釣りなんていつ振りだったろうか。焦って一つもすくえない私の代わりに通はいつも二つは必ず取ってくれた。金魚二匹の入ったビニールを渡されはしゃいでいた私に彼は呟く。 「唯は金魚すくいって好きか? 」 動物愛護的な話だろうか、いつもとは毛色の違う彼の発言に不思議に思った。 「私はそれ自体っていうよりも、取った後の結果。要はこれだね。このビニールに入れられた物としてなら好きかな。浴衣に似合ういかにもって感じの綺麗さじゃない? 」 金魚を持ち上げながら答える。祭の灯りに中の水が赤く煌めく。急に揺らされた金魚たちは落ち着きなく尾びれをヒラヒラ動かす。たったそれだけですごく幻想的だった。     
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