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「あの、俺、都市対抗野球の真っただ中で、今シーズンはいいところまでいってんすよね」
「うん、聞いてるよ。活躍しているらしいね」
「俺、なんつうか、逆に今踏ん張らないとヤバいっつうか」
裕治は大きく息を吐いた。
「あの薬、疲れが取れるっつうか、肩の痛みが起こらないんすよね」
「なるほど。君は、あの薬を飲み続けたいというわけだね」
「そうっす」
美佐子は、単なる炎症鎮痛剤なのに、と笑みを漏らした。
こんな高校生のような話し方をするが、裕治は24歳。形だけだが、大日本薬品株式会社の総務部に所属している。
その実情は、社会人野球部のピッチャーで、一日のほんの少しの時間デスクに座って形だけの仕事をこなし、グラウンドに飛び出して行くのだ。
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