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そして、自らも夜空に願う。
星になっては消えてゆく、悲しい星が増えないことを。
地上に残された者が、幸せになれるようにと。
母が流れ星となり消えた娘は、その日以来、夜空を見上げることはなくなった。
母が消えたことを知ったのか、今の母親に気を使ったのかは分からない。
だが、死して星になっても、生きる人間に干渉することはできない。
双子星は、それをよく分かっている。最古の星として、いろいろな星が生まれ、消えてゆくところをずっと見てきた。
赤と橙──この色が意味することが寿命であることは分かっている。
後どれだけ地上を見守ることができるかは、想像すらつかない。
だからこそ、願う。命尽きるまで、願い続ける。
今を生きるものが幸せであることを──。
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