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そして、少しだけ頬の筋肉を緩めると、友人に向かって言った。
「美緒ちゃん、ありがとう。もう授業始まるし、二人で話したいから先に教室戻ってて」
「え……でも……」
「大丈夫だよ」
奈津子は微笑みを浮かべていた。美緒は振り向いて私を睨んだかと思ったら、小走りで校舎へと戻って行った。
私は奈津子の聡明さと強さが好きだ。
「克哉くんから聞いたの。トモと浮気したって」
「うん、本当だよ」
「そうなんだ」
奈津子の考えはわからない。
怒るわけでも責めるわけでもなく、ただ事実確認をしているだけの穏やかな会話。
「トモは克哉くんの事が好きなの?」
そう言われて私は悩んだ。
嫌いじゃない。でも恋愛の好きかと言われたら少し違う気もする。
友達以上恋人未満。
異性の友達を表すのに最適な言葉だと思う。
女子同士にはほど遠く、他の男子よりは近い関係。
ふとした瞬間に異性だということを意識する。
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