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序
小豆色のペンキはところどころ剥げてきている。俺はそんなドアの前に立って躊躇っている。なぜか。同棲生活も早いもので1年が経った。アホやらかして留年した俺に先駆け短大を卒業した2歳年下の夏子が就職したタイミングで一人暮らしを始め、家族の冷たい視線に耐えきれなくなった俺が半ば強引に転がり込んだあげく彼女の両親から「同棲しちゃえばいいのに」なんて有難いお言葉をいただいてから大学卒業、就職、現在に至るまでがこの1年。
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