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 ここまで書き終えてなお、夏子は冷静に、笑みを湛えて読んでいた。部屋には相変わらず沈黙が立ち込めていて、夏子の微かな戸惑いや、俺自身の恐怖と言った情念が渦を巻いているのが手に取るように分かる。けれど夏子は言った。 「村原くん。村原くんが右手を切断するくらいなら私の右手を蒼さんにあげていいよ」 「なに言ってんだよお前!!」思いもよらない一言に激怒してしまう。「いいわけないだろそんなの!!」 「村原くんの今好きな人って、誰?」 「……お前だよ」     
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