1 まるで恋だ

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帰宅してから『橘 星』をネットで検索してみる。 あんなに凄い絵を描いて飾られるくらいなのだから、中学生や高校生の頃に絵画のコンクール等で入選してる可能性もあったからだ。 しかしいくら検索しても俺の目的と一致する検索結果は得られなかった。 過去のコンクールの絵を探ってみても『橘 星』は出てこない。 「橘先輩...」 パソコンの前でその名前を呟く。 どんな人なのだろう、女性だろうか男性だろうか、他にどんな絵を描くのだろう。 自分でも不思議なくらいに、俺はあの絵を描いた『橘 星』の虜になっていた。 まるで恋だ。 自分には付き合っている女性がいるというのに。 その絵を通して『橘 星』に恋をしている。 ああ、そうだ。 そう表現するのが、とてもしっくりくる。
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