2 音楽同好会

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俺は生まれつき金色の髪と少し色素の薄い青い瞳を持っている。 祖父がロシア人だと聞いているけれど、俺が産まれた頃には故人だったから実際に会ったことは無い。 本来ハーフでも遺伝が難しいといわれている劣性遺伝子の金髪と青い瞳を、クオーターである俺が持って産まれたのは本当に珍しいのだそうだ。 更には190cm近いこの無駄に高い身長。 目立たないようにする方が無理だった。 漸く喧騒の中から抜け出した頃には最早疲れ果てていた。 チラシをカバンに押し込んで溜息をつく。 さっさと親と合流して慣れないスーツを脱ぎたい。 一人暮らしを始めるため、新居の片付けだってまだ満足に終わってないのだから。 胸ポケットに入れた携帯が震える。 ああ、彼女かな。 あいつも今日、入学式と言っていたから。 立ち止まって携帯を確認しようとしたところで、背中を軽く叩かれた。
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