悪魔の興味

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 沙和子は勧められたので事件捜査で集められた情報を確認する。まずは事件現場の写真。そして被害者達の写真。それは、喉を掻き切っただけじゃなく、被害者の身体を切り裂いて中から内臓を取り出した後の写真や、顔を切り刻んだ写真など残酷な仕打ちの写真ばかりだった。 「あぁ・・・、あぁぁぁ」  沙和子はそんな被害者の遺体写真を見てその場で昏倒した。 「珍しいね・・・。君が倒れるなんて・・・」  警察署内の医務室に運ばれた沙和子を心配して、上司は傍に付き添ってくれていた。 「ちょっと、キツかったかな・・・。まだ君には」と上司は残念そうな口調で話した。 「いえ・・・。違うんです。あの写真を見たら、自分の母親を思い出して・・・」 「お母さんを?あっ、そうだったな。君達のお母さんも無残に殺されたんだよな」と上司は思い出していった。 「そういえば・・・、君達のお母さんを殺害した犯人も、まだ捕まっていなかったね」と言葉を続けると、沙和子は身体を起こしながら「はい」と一言頷いた。 「私達の母を殺した犯人とは別人だと思いますが、この切り裂きジャックは許せません」と沙和子いうと、ベッドからゆっくりと立ち上がった。  長くて短い冬がようやく終わりを告げる頃、再び切り裂きジャックによる事件が発生した。 「何て奴だ!冬休みを取得していたよみたいなタイミングで現れやがって」 「警視庁も大慌てだぞ」と庁内でも話題になった。     
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