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そんな中でも、沙和子は担当する事件の真相を解明しながら法廷に出向くなど仕事を順調にこなしていた。そして、休みになれば疲れた身体をおしてでも、実和子を迎えに行った。
「あぁ、馬場さん。実和子さんですが、先週から風邪の症状があったので検査をした結果、インフルエンザに罹ったみたいです」
「インフルエンザ?こんな春先なのに?」
「えぇ・・・。でも、インフルエンザはこの終わったと思った時期でも、予防接種を受けた人達の耐性が切れて罹るんですよ」
「じゃあ・・・。ミワは」
「ごめんなさい。面会も出来ませんし、外泊も無理です」
前もって連絡を入れて欲しかったと沙和子は看護師にいった。畑野という看護師も、「忙しくて今日の外泊を忘れていました」と頭を下げられては、沙和子は何も言い返せなかった。
一人、寂しくトボトボと帰る道は寂しいものだった。こんな季節にインフルエンザに罹るなんて・・・。
『こんな季節にインフルエンザって・・・』
『何で連絡をくれなかったの!』
沙和子はふすふすと心の奥底から湧き上がってくる怒りを何とか抑えようとした。
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