悪魔の興味

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「すいません・・・」と沙和子は一言礼をいって、エレベーターへ向かう。その姿を見た職員は不審に思い、自分の携帯電話を手にする。  切り裂きジャックの捜査を担当する捜査本部に連絡が入った。T市で事件が発生。被害者は辛うじて息があり通報してきたという。 「ガイシャは犯人を目撃している模様。すぐに病院に向かってくれ。他の班は現場に急行だ!事件を解決するぞ!」  捜査本部の士気が一気に高まった。 「実和子さんに服用したタミフルの副作用なのか、首を吊ろうとして自殺を図ったんです!」 「ミワは?ミワは大丈夫ですか」 「今、救急車を呼びました。大きな病院に搬送します」  そう話をしている最中、救急車のサイレンが聞こえてきた。  実和子を乗せた救急車がT市の救急病院へ到着すると、すぐに処置室へ運び込まれた。沙和子の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。 「馬場沙和子さん・・・。ですね?」  不意に後ろから沙和子は声を掛けられた。  沙和子が「はい・・・」と返事を返しながら振り向くと、切り裂くジャックの捜査本部を指揮している管理官の日下部が目の前に立っていた。 「日下部さん?どうしたんですか?」 「馬場さん・・・。残念ですが・・・、あなたを連続殺人の容疑で事情聴取します。署までご同行願えますか」と日下部は低調に説明した。 「そんな・・・。何を証拠に?」     
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