悪魔の興味

「証拠ですか・・・。申し訳ない。それなら今すぐ、ここでコートを脱いでもらえますか？殺された被害者の返り血を浴びているはずです。目撃者もいます」

「あなたが馬場実和子さんの病院に行った際、事務当直の方から通報がありまして、ご家族が血で汚れたコートを着ているとの情報がありました」と同行する女性捜査官が説明する。

「失礼します」と、その女性捜査官がコートに手を掛けてゆっくりと脱がした。コートの中は真っ赤な血で汚れている。

「決定・・・、的ですね・・・。この血痕のＤＮＡを調べれば、殺された妹さんの病院の看護師、畑野さんの物と一致すると思いますが・・・。ご同行願えますね」と日下部は改めて伝えた。

「彼女・・・、亡くなりましたか？」

「えぇ・・・。妹さんと同じこの病院に搬送される途中で・・・」

　翌朝、冷たい取調室の中で日下部の取調べを沙和子は受けた。

「母の死を受けてからずっと、法の下で正義を貫き通す検察官に憧れて勉強をしてきました。けど、いざ、検察官になって仕事をこなしていくうちに母のような死に様で殺された人達を見ているうちに・・・、殺人犯の気持ちに疑問と興味を持ちました。それで・・・、妹の実和子をアリバイに利用して罪の無い女性を・・・。殺してしまいました」