悪魔の興味

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悪魔の興味

 蝙蝠の羽根のような真っ黒い大きな翼を羽ばたかせ、揉み上げまで裂けた口から真っ赤な舌を出しては、紫色の唇をその長い舌で舐め回しながら、悪魔バルデビは灰色の空を悠長に飛んでいた。  彼の目的は一つ。18年前に生まれた双子の娘を探し、自分の研究に使う実験体と鳴ってもらう事。その実験体となる娘の居場所を探していた。勿論、居場所は知っている。常に監視はしていたからだ。  日本人の娘と交配して生まれた双子の娘は、今回の実験体に合わせて本来、一人しか生まれないはずだった受精卵を、悪魔の呪いで身体と魂を半分にした。つまり、自然に生まれる筈の双子ではなく、悪魔バルデビの呪いと創造で造り出した双子である。 「あの家だな・・・」  バルデビは、どんな性格の娘に育っているのかが楽しみだった。何せ、自分の遺伝子を持った人間の娘。そして、これから彼女達は実験台としてどんな人生を送るのか・・・。  目標の家から叫び声が聞こえる。聞き覚えのある声に若い声が罵り合っている。バルデビは嬉しそうに舌舐めずりをする。『これは研究開始のいいタイミングじゃないか・・・』と悪魔は心の中で囁くと、ガス状の身体のまま家の中へと侵入した。  外に聞こえた声は馬場実沙子と娘の声だ。その娘の表情をジッと見つめる。面影からどこか実沙子にも似ているし、自分にも似ている気がする。 『人間と悪魔の魂が半分半分入っているな・・・。これは結構』  バルデビはそっと二人に近づくと、眠りの呪いを二人に掛けた。暫くの間、二人には眠ってもらう。そして、眠っている間に娘の魂に悪魔の心を目覚めさせる。準備が整えば二人を目覚めさせ、そして・・・。
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