悪魔の興味

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「はい。急に妹と一緒に過ごしたくなったので」と沙和子は心境を語った。  二人は病院を出ると、駅までタクシーで移動し、今度は駅から電車で自宅のある駅まで移動してからの、思い出のある和食のお店に入った。二人はそれぞれ別々の料理を頼んでシェアをして食べると、心配性の実和子が「サワちゃん・・・。お金、大丈夫?」と小声で聞いてきた。 「大丈夫だよ。ミワと違って、私はしっかり者だから」と小さな胸を前に突き出していった。 「サワちゃんがいないと・・・、ミワはダメダメな女の子だもんね・・・」と声を小さくしていう。そんなミワを見つめながら沙和子は笑顔で、「しっかりしなさい!」と励ました。  それからの沙和子は多忙をきわめた。検察官の仕事がこれほど大変だとは思っていなかったが、それでも、自分がやらないといけない。悲しむ弱者を増やさないという信念で仕事を続けていた。そんな矢先の事だった。 「平成の切り裂きジャックの噂、聞いたか・・・?」 「あぁ・・・。女性ばかりを狙う殺人だろ。警視庁もこの二月で3人の被害者が出たって事で泡食っているじゃないか」  そんな噂が庁内で広まっていく頃、沙和子に僅かな変化が見られた。     
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