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実和子を病院まで送り届けると、沙和子は一人ぼっちとなった部屋で、自分の両手をいつも眺める。そして、自分の手が起こした事を毎晩、悔やみ続けていた。
翌日、沙和子は職場へ登庁すると、同僚の事務官が挨拶をしに来る。
「おはようございます。サワさん、昨日も結構飲みましたね」と言ってくるので、沙和子は「そんなに飲んでいないでしょう」と笑って返した。
「そういえば昨日の夜も聞きましたけど、サワさん、絶対に酔い潰れないのに、酔い潰れた時の為にメモを取るなんて、すごいですね。さすが、検事!」
「そんな事無いって。でもね、酔い潰れて後先忘れてさ、万が一だよ。誰かに迷惑を掛けたとなればさ・・・。取り返しがつかないでしょう。だから、その為の用心に・・・」と沙和子はニヤッと笑った。
「おい!一昨日の夜、また切り裂きジャックが現れたらしいぜ!」と職員の男性が傍らにいる別の職員に話した。
「あぁ・・・、聞いたよ。また、喉を掻き切られていたってな・・・。それで、今度は腎臓と子宮が切り取られていたって・・・」
「あぁ・・・」とすれ違い様に聞いた会話を聞きながら、事務官の女の子は「サワさん・・・。怖いですね・・・」といった。
「そうね・・・。でも!私が必ず捕まえて犯罪を立証してやるわ」と沙和子は力を込めていった。
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