悪魔の興味

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 警察の捜査は難航しているようだ。検察官には事件の単独捜査は認められていないために、沙和子は日々、イライラが募るばかりだった。それでも、秋から冬に季節が移る頃、事件はパタリと起きなくなった。その為、沙和子の興味を持つ事件に関する情報は何も入ってこなくなった。  それでも、沙和子には別の殺人事件や放火、強盗事件の送致、証拠の確定、真相究明など多忙をきわめた。その中、休みを見つければ実和子を家に連れて帰ると言う外泊も忘れていなかった。  公務員には少し長めの冬休みがある。年越し休みは検事になって初めての事だが、精神病院に実和子が入院してからずっと、年越しは姉妹二人で過ごす事を欠かしたことは無かった。 「ねえねえ、サワちゃん。お正月には、お年玉くれるの?」と実和子が沙和子に聞くと、沙和子は「もう・・・、ミワ。もう大人なんだから・・・。お年玉はあげません。お小遣いね」というと、実和子はふくれっ面で「ケチ!」といって走り出した。 「ミワ!」と沙和子は怖い顔をしながら走って先に逃げる実和子を追い駆ける。沙和子が実和子を捕まえると、二人は声をあげて大笑いをした。 「お正月、何食べたい?」と沙和子がスーパーの中で買い物をしながら実和子に尋ねると、実和子は決まって、「お母さんのお雑煮とカレー」という。     
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