34人が本棚に入れています
本棚に追加
老人と海
吸い込まれて、黒。
真っ黒な空間によって孤独であると再認識する。肉体は溶けて暗闇と同化し、残るのはむき出しになった魂のみ。
ぎょろりと魂の目を動かしてあたりを見渡すが何もない。ひとりぼっちなのに、寂しさはなかった。
息をひそめ、それを待つ。
ひとつ。ほうっ、と光の粒が浮かんだ。遥か遠くで、消えてしまいそうな弱い光。それがきらりと瞬いた瞬間、暗闇に隠れていた他の粒が輝きだす。
ばらばらばらばらっ。夜の布を翻して次々と、光の粒が増え広がっていく。
白、赤、黄。様々な色を孕んだ宝石が爆発し、弾け飛んだ破片が暗闇に突き刺さった。それは魂を囲み、孤独を打ち消すように煌めく。
ダンザライトは知った。
遥か遠くの温かい光を。
ダンザライトは知った。
星に願いを託すことを。
ダンザライトは知った。
美しいものを、星を、知った。
最初のコメントを投稿しよう!