星を知る

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「さあ、次だ」  パン、と乾いた破裂音がした。ホルダーが手を叩いたのだろう。 「これは爆発。その宝石が弾け散った」  美しい光が、消えた。  青白い宝石は暗闇に呑まれる。黒の世界が戻ってきて、忘れていた寂しさが浮かびあがった。 「問。わたしはひとりになってしまったのですか。何も見えません。暗い。怖いです」 「いいや大丈夫、ひとりじゃない。宝石は無くなっていないよ。どんなに細かな粒になっても光を忘れない」  弾け飛んで、暗闇に突き刺さった宝石の破片が、場所を示すようにきらりと瞬いた。 「白、赤、黄色……宝石は様々な色に変化しながら、爆発を繰り返し、どんどん増え広がっていく。見てごらん、ダンザライトは無数の光の粒に囲まれている」  隠れていた光の粒が次々と顔を出す。  黒のカーテンをめくるように。鳥が羽を広げるように。増殖し広がった光の粒がダンザライトをぐるりと囲んだ。  もう暗闇を狭苦しいとは感じない。明滅する光たちによって世界が広がる。ブランケットの中に無限の宇宙を見つけたのだ。  肉体は溶けて魂が残り、光の粒と共に漂っている。宇宙の一部になった気がして、とても心地がよい。 「これが夜空に叶う星の時間。星空だ」 「……これが、星空」  ダンザライトは星空にいるのだ。  夜の孤独を知り、星の温かさを知り、そして―― 「その中央に青い星が……青い……あ、お、」  ホルダーの言葉は、それ以上紡がれなかった。  主を失った星たちは悲しげに消えていく。ぽつ、ぽつ、と儚く暗闇に呑まれていった。
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