老人と海

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老人と海

 吸い込まれて、黒。  真っ黒な空間によって孤独であると再認識する。肉体は溶けて暗闇と同化し、残るのはむき出しになった魂のみ。  ぎょろりと魂の目を動かしてあたりを見渡すが何もない。ひとりぼっちなのに、寂しさはなかった。  息をひそめ、それを待つ。  ひとつ。ほうっ、と光の粒が浮かんだ。遥か遠くで、消えてしまいそうな弱い光。それがきらりと瞬いた瞬間、暗闇に隠れていた他の粒が輝きだす。  ばらばらばらばらっ。夜の布を翻して次々と、光の粒が増え広がっていく。  白、赤、黄。様々な色を孕んだ宝石が爆発し、弾け飛んだ破片が暗闇に突き刺さった。それは魂を囲み、孤独を打ち消すように煌めく。  ダンザライトは知った。  遥か遠くの温かい光を。  ダンザライトは知った。  星に願いを託すことを。  ダンザライトは知った。  美しいものを、星を、知った。
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