悪魔小僧ぷくぷく・ふたたび

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 窓枠に手を置いた瞬間に痛みが走り顔を歪めた。やっぱりベッドに戻ろうかと思ったのだが不思議な存在に気づき目を奪われる。一人の男性とあれは……動物だろうか。いやいや、あんな動物はいない。子猫に着ぐるみでも着せたわけでもなさそうだ。ここからだとよくわからない。全身黒で耳みたいなものがある。背中には小さな翼みたいなものもあるような気がする。  いったい、あれはなんなの。太ったコウモリと一瞬頭に浮かんだがすぐに否定した。  少しばかり頭に痛みが生じた。とうとう幻覚まで見えるようになってしまったのだろうか。けど、すぐにその考えを振り払う。いや、そんなはずはない。精神病じゃない。そんな症状が出るはずがない。そう思ってはみても本当に精神病じゃないとは言い切れない。自分の病気はいったいなんなの。  この痛みはなんなの。この怠さはなんなの。  皆が仮病だと決めつける。そうじゃなくても精神疾患を疑ってくる。そうじゃない。絶対に違う。いろいろ検査をしたのに、どこにも異常がない。痛いはずがないなんて決めつける医者は嫌い。精神科か心療内科に行きなさいなんて話す医者も嫌い。本当に痛くて痛くて仕方がないのに。  父さんまで『わがまま言わないで学校に行きなさい』なんて怒鳴ってくる。なんで、信じてくれないの。我慢して学校に通っていたけどもう限界。無理。歩くのもやっとなのに。  母さんは溜め息ばかり。学校でいじめられているのなんて聞くことも。違うって話してもダメ。問題はそこじゃないのに。病気を治してほしいだけなのに。かわってくれない。それでもお祖母ちゃんだけは信じてくれているみたい。  お祖母ちゃんが来てくれると少しだけホッとする。少しだけ笑顔になれる。やっぱり精神的なものなのだろうか。  わからない、わからない、わからない。  真由は目に溜まった涙が頬を伝わるのを感じながら俯いた。
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