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夜半もすぎ、閑散とした飲食店街。その路地裏。散乱するゴミクズを蹴散らしながら、ラジカセに手足の生えたような宇宙人が猛スピードで逃げていた。
その背後に迫るのは、特撮ヒーローモノにでも出てきそうな全身シルバーメタリックな装甲をつけた戦士だった。
その名は、宇宙税査察官ハラエヤー。脱税をして地球に逃げてきた宇宙人たちを処分するため、ロリコンズ星から派遣された戦士である。
「ハラエヤーカミカゼアタック!!」
ハラエヤーは力強く叫ぶと、駄菓子屋で売っている発泡スチロールの飛行機を勢いよく投げ飛ばした。
ズジャッ。が、下手くそすぎて、地面に急降下。
「しまった!」
あわてたハラエヤーはとっさに拾いあげようとする。しかし全力で走っていたせいで、思いっきりつんのめった。
「ッダア!!」
悲痛な声を夜空に響かせ、豪快にずるんと転がる。情けない、ハラエヤー。
「哀れだな、ハラエヤー。せいぜい転がりつづけるといいぜ」
振り返った宇宙人がゲラゲラと笑う。
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