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「ザ・レ・スラーです。ザ・レと呼んでください。
十八歳です。トート市の武工学館を卒業したばかりです。
郷里のザ・ラー師に挨拶に来たら、ここでの家庭教師の職を斡旋して頂きました。
人を教えるのは初めてですので、最初は兄のように指導していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします」と、ザ・レ。
「ザ・ドのお兄様ならば、私のお兄様でもあるってこと?」と、ミ・シー。
「ミ・シー、ザ・レ様はザ・ドの家庭教師としてここにいらっしゃるのよ。
お兄様として接するのはあくまでザ・ドであり、貴女までは含まれていませんよ!」と、マダムはミ・シーをたしなめた。
「私の家庭教師にもなっていただけたらいいのね?」と、ミ・シー。
「いえ、一度にお二人の家庭教師は勘弁してください。
なにせ、初めての家庭教師ですから・・・」と、ザ・レ。
「ザ・レ君は当面はザ・ドの家庭教師で手一杯だと思うし、ミ・シーに家庭教師をつけるなら、やはり女性の家庭教師を探すことになるだろうね」と、ザ・ド卿。
「私には女の家庭教師ですか・・・、男の人の方が私はやりやすいわ」 と、ミ・シー。
「何を言っているのです・ミ・シーは。はしたない」と、マダム。
「へへへ」と、ミ・シーは、チョロッと舌を出して笑った。
「家庭教師は私が初めてデスカ、ザ・ド?」と、ザ・レは尋ねた。
「学問については、幼少から女性の家庭教師がついていてくれて、…まあ家庭教師というよりは乳母に近い存在でしたが十三歳の時まで仕えてくれました。
また、十歳になった時から別に武芸専門の家庭教師がつい先日までついていましたが、マート市に職を得たことで去っていかれました」
と、これまでの家庭教師の経緯を伝えた。
「そうですか、剣術は十歳から習われたのですね。
剣龍会の人でしょうね?」と、ザ・レ。
「はい、ザ・ロイ先生です」と、ザ・ド。
「アア。ザ・ロイ先輩ですか、それは、いい人に教えて頂いていたのですね」と、ザ・レ。
「はい、確かザ・ラー師のご紹介でいらっしゃったと父から聞いています」と、ザ・ド。
「そうでしょうね、で、どの程度までご精進なさったのですか?」
「地の位を終えて天の位に進んだところです」と、ザ・ド。
「その年で天の位に入れるとは、私と大差ないかも知れませんね。
でも、学問の方はお教えできることは剣に比べて多いかもしれません」
と、ザ・レ。
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