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「まず、剣技のレベルを確認させてください」と、ザ・レが申し出た。
二人は剣技室に入っていった。
剣技室の床は板敷で壁も板張りで、壁には各所の木剣が架けられている。
「ほう、かなりの種類の木剣がありますね」と、ザ・レ。
「はい、ザ・ロイ師が色々な流派の剣を知っおくべきだとの考えから揃えました」と、ザ・ド。
「いつも使っている剣はどれですか?お取りください」と、ザ・レ。
「これです」と、定寸の物を手に取り、「こちらにかけられているものが、ザ・ロイが使用していた木剣です」と、隣の列の刀かけを指さして説明した。
「わかりました」と、ザ・レは、二、三回素振りをして、一刀を選んだ。
「ではまず自由にうちこんでみてください」と、ザ・レが言った。
二人は剣技室の中央で見合って立ち礼をして互いに剣を人中の位に保って見合った。
「ふむ、よく鍛錬していらっしゃる。
この歳で良くここまでになったものだな。
天分があるのかもしれないな・・・」と、考えながら、ザ・レは、通常の練習で行われる型通りの打ち合いに誘導していった。
ザ・ドは、よく守り機を見ての打ち込みにも伸びやかな資質を見せた。
「ほう、中々の腕ですね。今度は少し変化をつけてみましょう」と、ザ・レが言い、剣を人中に置いたまま、足さばきで円を描くように周りだした。
半円を描いた頃にザ・レは、上段に構えを変え、さらに木剣を後ろに引いた構えに移行していった。
この体制では、相手から剣が見えなくなる。間がとりにくくなるのである。
ザ・レは、ツツと前に進み、「てやーっ!」と袈裟に切り落とした。
「カン」と音がして、ザ・ドの木剣がそれを受けた。
直後にザ・レは、逆袈裟に切り上げ、ザ・ドは胴に引いた。
「カカン」と、前後して二つの音がした。
先の音はザ・レがザ・ドの籠手を叩いた音で大きく響いた。
後の音はザ・ドが引き際にザ・レの胴着を掠った音で小さく響いた。
「負けました」と、ザ・ドが素直に認めた。
「いや、紙一重でした。剣においてはザ・ド様は天性のものをお持ちです。
一天月もすれば、私よりも強くなられるでしょう。
そうすれば、剣の面では師弟を取り下げ剣友として突き合わさせていただくことにしましょう」と、ザ・レ。
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