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「でも、今日の結果は、非常に残念です。」
「君は、立派にやったよ。奥さんも、2人の娘さんも誇りに思ってらっしゃる。」
中村は、遠い地で、瓦礫の中に消えた孫のことを思った。
「今回の件で、君は絶望したかね。」
中村はあえてきいてみた。自分より、四半世紀以上も歳下の男を、少し試してみたくもなった。
「いえ、今日ですべてが終わったとは思っていません。拷問や病気のようなものです。すこしずつ弱っていく。ただ、もう回復の見込みはないのかもしれません。」
しばらく談笑して、近藤はそろそろ時間だと言った。
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