小さなお友達

5/25
前へ
/166ページ
次へ
ーーー あのワンちゃん、無事だといいけど、やっぱり心配! 私は駅に背を向けると、急いで引き返した。 しだいに風も強くなり、横殴りの雨に変わってきている。 早く行かなくちゃ! 息がきれてきたころ、ようやく川沿いにたどり着いた私は、モフモフの子と出会ったあの場所を探した。 この辺りだったかなぁ 何処を探してもいない 「 お~い!」 さっきまでいたのに どこ? しずくが飛びちる草をかき分け、あちこち探したけれど、あのこはいなくなっていた。 どうしよう! あのワンちゃん、濡れてしまっているかも 飼い主さんと一緒に帰ったのならいいけど !?… 私は立ち上がると、川面を上流から下流まで見渡した。 まさか だんだん不安になって来た。 そうだ! 上のほうからなら見つかるかもしれない。 橋の近くまで来ると、微かに鳴き声が聞こえてきた。 「 くぅん くぅん…」 「 ワンちゃん? どこにいるの? 」 上の方から小さな鳴き声が聞こえる いた! 「 ワンちゃん!」 「 アンッ!」 橋のコンクリートの台と橋桁の隙間で、モフモフのしっぽを振りながら、私を見ている白いワンちゃん。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

133人が本棚に入れています
本棚に追加