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「フフッ……見てよ、ファミリア。綺麗な魂でしょ? 半分だけじゃ、こんなに美しく輝かないわ」
『きれい! きれい!』
事故が起きた崖の下では、ルサルカが包み込む様に人魂の形をした蒼い炎を見つめていた。
「あれだけヒントをあげたのに、馬鹿な男ね。正しい選択以外は全て死ぬって言ったでしょ? 一度目の事故を起こした時、仮死状態になったけど生き延びた。つまり、正解はハンドルを左に切る……同じ事をすれば良かったのよ」
『良かったんだよ!』
「崖に落ちれば奇跡的に木の枝へと車が引っ掛かった。そこで抜けようとする魂の半分を、私が留めてあげる……これが生き残る唯一の答え。フフフッ……ご馳走様」
蒼く光る魂を、妖絶な唇に押し当てて吸い込む。
「さあ、次の獲物は何処かな……」
【完】
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