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気が付くと、俺は宙に浮いていた。
「やっと目を覚ましたわね」
目の前には真っ黒な服を着た少女が立っている。
『目を覚ましたよ!』
少女の肩に乗っている猿が人語を操り、楽しそうに飛び跳ねた。
「ここは何処だ? 君は?」
「私は魂を操る悪魔、ルサルカ。この子は使い魔のファミリアよ」
……なんだ、夢か。そう言えば、現実の俺は仕事を終えて車で帰宅していたはず……あれっ?
「思い出した? 帰宅途中で車が故障して、事故に遭ったのよ」
『事故に遭ったんだよ!』
そうだ。雨上がりの山道を走っていたら、急に車のブレーキが効かなくなった。そして、目の前に子供が飛び出して来て……それで俺は、ハンドルを切ったんだ。
でも、その後が思い出せない。
「これは、夢じゃないのか?」
「現実よ。そして、私はあなたの魂と話しているの」
「魂? 俺の体は何処にあるんだ?」
「病院よ。奇跡的に目立った外傷は無く一命は取りとめたけど、頭を強く打って意識不明の重体。このままでは意識が戻らない……そこで私の出番ってわけ」
少しずつ思い出してきた。あの山道は近くに小学校があって、少ないけど人通りもある。右側は山肌、左側はガードレールがあって、その先は崖だった。
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