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本心の毒花
綺麗な薔薇には刺がある。
色んなことに例えられるこの言葉。
私はあんまり好きじゃなかった。
私は棘なんかないよ。いつでもウエルカム。
そう思って人に接していても、貴女は何(なに)か壁があるんだよーって言われてしまう。
そんなつもり無いのになー。
好きだ! って思っても、大抵叶わない人ばかりで、だからこそこの歳まで私は一人なのである。
「ねぇ、夾竹桃とトリカブト、どちらが確実に殺せるかね?」
真昼間のお洒落なカフェで言うセリフでは無い。
けれどそんな事、気にした風も無い友人は、真剣なのかただの戯言なのか、クルクルとアイスティーのストローを動かして聞いて来る。
「物騒な事言うんじゃないよー」
「物騒なもんか、浮気しようと考える男の方が物騒だ」
それこそブスりと音がしそうな程に、ケーキにフォークを刺した楓(かえで)は、大きく口を開けて頬張った。
この店一番人気ですぐに売り切れちゃうと、朝から並んでみたのに、そんな労力も、食べれなかった人達の気持ちも、何の事無いと言わんばかりに頬張られて行くチーズケーキ。
「未遂だったんでしょ? 良かったじゃん、何やかんやで、楓に振り向いてほしいだけでしょ?」
「そんなやり方、認めぬ」
プリプリしている楓は、とっても可愛い。
だからこそ、彼氏は大事にしてくれるんだろうなぁ。
楓は私の五個上の先輩。中々職場でも打ち解けられない私を、難無く受け入れ、こうして休みが会う度にお茶をする。
どうしてそうなったかは、今では笑い話だが、当時は大変だったんだ!!
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