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ひょい、と身体を戻すと、南条先輩はストローを口にくわえて、片手をひらひらとさせながら歩き出した。
「ま、慣れないとこで大変だろうし、九重、気をつけてやりなよ? 相沢ちゃん、まったね~」
去っていく後ろ姿を眺めて溜め息をついたら、九重くんと被ってしまった。
お互い顔を見合わせて、苦笑がもれる。
なんというか、ちゃらいよねえ。
きっと、九重くんは振り回されることが多いんだろうな。
でも「ああ見えていい先輩なんだよ」と弁護する九重くんは、南条先輩を慕っているようで、仲は良さそうだった。
その後は、なんとかぶなにやり過ごし、教室に戻った。
それにしても・・・・・・九重くんや南条先輩に会う時期も早いし、おかしなことばかりだ。
・・・・・・それに、ゲームの相違点以外にも妙なことがある。
それは、痛みや眠気があることや、トイレや空腹などの生理的欲求があることだ。
今まで、VRの中でそれらを感じたことはない。
本当に、今回のゲームはどうなっているんだろう。
考えると不安ばかりが募るので、わたしはあえて気にしないようにしながら授業を受け、無事に放課後を迎えた。
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