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「つ、疲れた・・・・・・」
心の底から、疲れた。
初日なのにこんなに疲れて、この先やっていけるのだろうか。
わたしは今後を不安に思いながら、ふらふらと下駄箱に向かって歩く。
とにかく、疲れた。今日はもう、早く家に帰ってまったりとしたい・・・・・・。
「・・・・・・ん?」
ふいに、くらり、と目眩がしてたたらを踏む。
立っていられなくなり、廊下にしゃがみ込み、壁に手をついた。
あれ?
なんなの、これ。
・・・・・・まさか、バグの影響、とか。
怖い想像に一気に汗が噴き出す。
・・・・・・バグで頭の中がおかしくなったら、死んじゃうのかな。
嫌だ。
こんなゲームなのかなんなのかわからない世界で死ぬなんて嫌だ。
こわいこわい、怖い。
「おい、あんた。大丈夫か?」
「・・・・・・え」
ぐいっと肩を抱かれ、立ち上がる。
誰かが、わたしを立たせたようだ。
横を向くと、健康的に日に焼けた男子生徒が、わたしを心配そうに見ていた。
「しっかりしろ。今、保健室まで連れて行くから。・・・・・・ああ、歩くのは無理か。俺の背中に乗れるか?」
問いかけられても、いきなりのことで頭がついていかない。
ぼんやりしているのを否定と受け取ったのか、彼は一つ吐息を漏らし。
「・・・・・・じっとしてろよ」
「ひゃあああっ!?」
なんと、わたしを横抱きに抱え上げた。
こここ、これって、あの、その、お姫様抱っこ!?
VR乙女ゲームでは時々あるけど、恥ずかしいからいつも拒否してたのに!
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