放課後

3/4
前へ
/14ページ
次へ
「おとなしくしろって。暴れたら、落ちるぞ」  困った顔をする男子生徒を見上げ、わたしは気がついた。  この人も、攻略対象だ。  一年の、北川 守(きたがわまもる)。  確か、サッカーかバスケのエースだったような・・・・・・まだ一度もルートに入ったことが無いから、詳しいことはわからないけど。 「あ、そのリボン・・・・・・すいません、先輩でしたか」 「え、あ、うん」  北川くんは制服のリボンの色を見て、わたしが二年だと気が付いたらしく、謝罪してきた。  しかも、その間にさっさと歩き出していて、わたしはもうおとなしくするしかない。  せめて、人気が無いのがラッキーだったよね、と考えておこう。 「大丈夫すか? 具合が悪いとか?」 「え、と。なんか目眩がひどくて」 「ちゃんと食べてるんすか? ダイエットとかして、食べてないんじゃないすよね? 先輩軽いし、必要ないっすよ」 「えっ・・・・・・」  軽い、と言われて思わず心が浮き立つ。  しかし、忘れてはならない。  ここは、ゲームの中なのだ。  ・・・・・・体重や身長に少し手を加えるのは皆やっているよね?  罪悪感を感じるのは何故なんだろう・・・・・・。 「あ、つきましたよ」  わたしが理想と現実(主に体重)のことで悩んでいると、北川くんは保健室の前で立ち止まり、中に声をかけた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加