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「おとなしくしろって。暴れたら、落ちるぞ」
困った顔をする男子生徒を見上げ、わたしは気がついた。
この人も、攻略対象だ。
一年の、北川 守(きたがわまもる)。
確か、サッカーかバスケのエースだったような・・・・・・まだ一度もルートに入ったことが無いから、詳しいことはわからないけど。
「あ、そのリボン・・・・・・すいません、先輩でしたか」
「え、あ、うん」
北川くんは制服のリボンの色を見て、わたしが二年だと気が付いたらしく、謝罪してきた。
しかも、その間にさっさと歩き出していて、わたしはもうおとなしくするしかない。
せめて、人気が無いのがラッキーだったよね、と考えておこう。
「大丈夫すか? 具合が悪いとか?」
「え、と。なんか目眩がひどくて」
「ちゃんと食べてるんすか? ダイエットとかして、食べてないんじゃないすよね? 先輩軽いし、必要ないっすよ」
「えっ・・・・・・」
軽い、と言われて思わず心が浮き立つ。
しかし、忘れてはならない。
ここは、ゲームの中なのだ。
・・・・・・体重や身長に少し手を加えるのは皆やっているよね?
罪悪感を感じるのは何故なんだろう・・・・・・。
「あ、つきましたよ」
わたしが理想と現実(主に体重)のことで悩んでいると、北川くんは保健室の前で立ち止まり、中に声をかけた。
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