乙女ゲームに閉じこめられました。

始まり

「それにしてもバットエンド十三回目かあ。そろそろ攻略サイト出来ていないかなあ･･････」

　初回プレイは攻略サイトなどに頼らず自力で、がわたしのこだわりなのだが、この『あやし、あやかし』は難しすぎる。
　ちょっと選択肢を間違えたら、すぐに友達エンドや疎遠エンドになるし、さっきみたいなバットエンドにもなりやすい。
　そろそろ心が折れかけていたりする。

　だが、まだ発売して数日しかたっていないからか、攻略サイトが出ていないのだ。

「･･････あー、やっぱりまだ駄目かあ」

　調べてみたが、攻略サイトは形ばかりの物だけで、まだ中身はなかった。
　仕方ない、自力で頑張ろう。

　ヘッドギアをもう一度被ろうとして、ふいによろけた。
　被ろうとしていたヘッドギアが足下に落ちて、がごん、と嫌な音をたてる。

　あ、やば。落としちゃった。高いのに･･････っ！

「うわー、壊れていないよね？」

　慌てて拾い上げて確認してみたけど、表面には傷一つついていない。
　起動も出来たし、データも飛んでいない。
　大丈夫、かな？

　ほっと安堵の息をもらして、わたしは改めて『あやし、あやかし』の世界にダイブした。

　色鮮やかなＶＲの世界。
　軽快な音楽と共にゲームが始まる。

　･･････なんだか今回は、オープニングが妙にゆっくりな気がした。