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――久しぶりに会いませんか?
友人からそんなメールがあったのが、二週間ほど前のこと。
高校時代からの親友である小百合は、現在イギリスで暮らしている。近々帰国するから会いたい、という話だった。
わたしはすぐさま了承した。小百合からは『会える日が楽しみ! 彼も詩子に会いたがってるわ』という旨の返事がきた。
彼というのは、小百合の恋人のことだ。
イギリス在住の彼のために、小百合は一年前イギリスへ渡った。小百合の恋人に会うのは、本当に久しぶりだった。
待ち合わせ場所でなんとはなしにスマートフォンをいじっていると、軽やかな蹄の音が聞こえてきた。
ああ、来た来た。
「詩子ぉー」
小百合が無邪気な笑顔で手を振っている。その隣で、彼女の恋人は穏やかな笑みを浮かべていた。
小走りでやってきた小百合は、そのままわたしに抱きついた。ふわりと優しい香りがする。
「詩子、会いたかったー!」
「わたしもよ」
「やあ、ウタコ。久しぶり」
「久しぶり、元気してた?」
小百合を抱きつかせたまま、彼女の恋人と握手を交わす。だいぶ高い位置にあるその顔を見上げた。
うーん、相変わらず美形だ。
ギリシャ彫刻さながらの彫りの深い端正な顔立ちと、艶やかな胴体、しなやかな四本の脚。黒い尻尾がサラリと揺れる。
わたしの親友、小百合の恋人は、たくましく美しいケンタウルスである。
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