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「彼とはどう? 一緒に暮らしてるんでしょ?」
「うん。彼ともそうだけど、親切な人が多いし、向こうでもなんとかやれてるよ」
「なら、よかった」
小百合が笑顔で答えたので、わたしも笑った。
メールではよくやりとりをするけれど、やはり実際に話すとより安心する。
「――それでね、そろそろ結婚しようかって話もしてるの」
「お、おう……」
ついに結婚か。まあ、付き合い始めて二年くらい経ってるし、自然な流れじゃないだろうか。
普通のカップルなら。
しかし相手はケンタウルスである。一筋縄ではいくまい。
小百合の両親は、一人娘の交際相手がケンタウルスであることについては諦めたというか、受け入れたというか、そんな感じらしい。娘の頑固さは知っているし、リギルも下半身が馬なだけで、誠実な青年だということはわかっているからだ。
それにしてもすごい話よね、娘の彼氏がケンタウルスって。わたしが父親だったら多分あらゆるショックで倒れる。
小百合は紅茶のカップに視線を落として言った。
「でも、いざ結婚となると、やっぱり少し悩んでしまって……」
恋人と夫婦は全然違うものだもんね。あと何度もいうけども、相手ケンタウルスだからね。異文化交流どころの話じゃねえ。
「……悩むのは当然だよ。マリッジブルーなんて言葉があるくらいなんだからさ」
わたしが言うと、そうよね、と小百合は頷いた。
「そうだよね。結婚するとなると、国際結婚になるわけだし……色々あるのは当然だよね!」
気にするとこ、そこじゃなくない?
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