サドルが輝くそんな夜に（11作目）

サドルが輝くそんな夜に

というかサドルを取ったら、筒は空洞なんだね。こんなにまじまじと見たことなかったわ。

サドルがついている方の筒も空洞なのかな。長さってどうなっているんだろう…。長さが高さになるわけだから、長ければ長いほど、サドルの位置も高くできるんだよね。

サドルを目いっぱい高くした自転車に乗っている姿を想像してみた。私じゃペダル漕ぐのも無理だなぁ。うーん、と頭をひねったら、大手広告代理店の関本さんが乗っている姿が思い浮かんだ。

関本さんならいけるな。身長が高く足も長い。体の線は細くてバッタみたい。あのほそーいバッタね。バッタっぽいんだけど、仕事はバリバリできるし、大手広告代理店勤務ってことで給料もいいみたいだし、おいしいお店をいっぱい知ってて素敵な大人って感じ。

関本さんならサドルを目いっぱい高くした自転車も乗りこなすだろうな。細見のストライプのスーツを着こなして、さっそうと東京の街を走るのだ。

さて、完全に現実逃避してしまったけど、現実は変わってない。

私の自転車にはサドルがない。