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だから。
時々、達郎は「家族」を使うのだ。
娘から連絡があった時、必ず体を重ねることを拒もうとする。
何故なのだろう。そう、思う。
何故俺達は共にいるのに、満たされないのか、と。
ただ。それでも、俺は達郎と離れることはできない。
だから。
「俺は、お前がいればいい」
俺は、達郎の耳元にそう囁いた。
その瞬間。
達郎は、顔を覆っていた手をゆっくりと広げ、俺の首筋に縋り付いてきた。
それから、俺達は唇を重ねる。
埋まらない空虚を埋めるたに。
体を重ねて、言葉を重ねて。
いつか、この空虚は埋まるのだろうか?
達郎と言う、存在で。空虚を、花で埋めるように。
達郎の体を抱きしめながら、俺はそう思ったが、次の瞬間。
その熱い身体に溺れていった。
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