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とたんに、達郎の顔が朱に染まった。
相変わらずの、初(うぶ)い反応だ。
「何だ、お互い爺になるってのに、その反応は」
俺は、ビールの缶を床に置いた。
「君が変なことを言うからだろう」
笑いながら達郎の首にすがり付いたが、拒否はされなかった。
「俺達の子だって、同じようなことやっているんだぜ」
それを良いことに、俺はシャツから見えている、達郎の首筋に唇を寄せた。
「夫婦なんだから、当たり前だ」
びくっと体を震わせながらも、達郎はそう言った。
そもそも、俺達が知り合ったのは、それぞれの子ども達が結婚することになったからだった。
それまで俺は、自分の人生に何の疑問も持っていなかった。
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