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幸いだったのは、俺も達郎も釣りが好きで、共に釣りに出かけることがよくあったことだった。
お互いの妻達にも、「良い釣り仲間ができたのね」と言われて、互いの顔を見ながら苦笑した。
良き親族で、良き釣り仲間。
それで満足すべきだと、柄にもなく、当時の俺は必死で自分にそう言い聞かせていた。
妻にだって不満はなかった。
結婚して二十三年。
共に生活してきた相手だ。
人生の半分近くを共にしてきた相手を、簡単に切ることなんてできやしない―そう、本気で思っていた。
だけど。
「理性」で必死に抑えていた「感情」は、溢れ出て来た。
ある日達郎と一緒に釣りに出かけて、雨が降って帰るのが危険になったので、一緒に釣り宿に泊まったのだ。
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