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その時に、俺の感情は爆発した。四十代の男が、五十代の男に欲情して、そうして達郎を抱いた。達郎は、拒否しなかった。
抱いている最中、抵抗しないのか?と聞いたら、黙って頷くだけだった。
達郎の気持ちが俺にある。
そのことに気付いた俺は、もう我慢なんてできなかった。
妻とか、家庭とか、父親とか、社会的地位とか。そんなものが、全部吹き飛んだ。
「傾国の美女」なんて言葉があるが、女のために国を傾かせた男の気持ちが、わかるような気がした。
それぐらい、頭の中は達郎のことでいっぱいだった。
ただ、互いの妻にばれないようにすることは、達郎が望んだ。
達郎は、家庭を壊すことを望んでいなかったのだ。
ずるい、と思った。心は俺にあるくせに、会えば抱かれることを望むくせに、「家庭」を捨てることをできない達郎が。
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