花埋め

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 だが、あっさりと俺達の関係は互いの妻にばれた。  最初に気付いたのは、俺の妻だった。  俺も気を付けていたが、妻は少しの証拠で俺達の関係に気付いた。  もともと、聡くて頭も良かった。  そうして、俺の「思い」を誰よりも理解できる女だった。  だから。  妻は、迷いなく離婚を選んだ。  だけど、達郎の妻は離婚することは望まなかった。  再構築を望んだのだ。  達郎は、自分の妻の言葉に頷いた。  俺よりも、自分の妻を選んだのだ。  その時は、絶望で気が狂いそうになるかと思った。  もう妻と離婚する頃の俺は、達郎だけがいれば良かった。  息子の妻の父親と不倫関係なった俺を、息子は軽蔑しきっていたが、それすらもどうでも良かった。 『良識のある大人がすることじゃあない』  そう、息子は俺にそう言った。  そうかもしれなかった。
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