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 目も覚めたしせっかくだから仕事してくよ、と言うその人とは駅前で別れて一人で電車に乗った。今度は寝過ごさなかったし、家に帰って昨日の洗い物をしてクイックルワイパーをかけて洗濯機を回してその間に昼寝をして、とむしろやたらと充実した休日になった。  オチがないから話の種にはならないかなあ。寝る前に一日を反芻してみる。狐につままれたような午前だった。まあ、もう会うことはないんだろう。  情けは人のためならず、をもう一度思い出して、明日、今日代わってくれた後輩に売店で何か買ってあげようと思ってそのまま眠った。 「ハル?」  それから大体二週間後の帰り道。早番のあとに飯を食う約束をしていた友達に袖にされてのろのろと改札をくぐろうとしていた俺の前に、救世主、と言うにはやや美化しすぎだけれど、その人はふたたび現れた。 「・・・・・・ええと」  どちらさまでしたっけ、と聞くほかなかった。  何しろ俺は名前を知らない。 「スガでいーよ」  謎の美人X改めスガさんはそう言って笑った。
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