序章~そんなものだ~

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俗に真の勇者と呼ばれるものは一人に限られる。 だが、ただの勇者と言うくくりで言うなら話は別だ。 例を挙げるなら北の勇者や、南の勇者。始まりの勇者、無垢なる勇者、無敗の勇者etc... 他を挙げればきりがない。要はその者の特徴や能力に由来する接頭語がつくわけだが、肝心の勇者が勇者足る由縁は一つと言えよう。 それは、人々から勇者と思われることだ。 それなくして勇者は成り立たない。勇者とはつまり人からの評価の粋なのだ。 勇者無くしても人はあるが、人なくして勇者は無いのだ。 ここで、少し考えてもらいたい。人なくして勇者は成り立たない訳だが、例え見るもの伝えるものがいなかったとしても、力あるものの力、勇者なり得る力は無くなったりはしないわけである。 つまり、表沙汰には出ていないだけで、勇者と呼べるほどの力を持つ者は存外多くいるとは思わないだろうか。 そしてそれは、魔王軍、魔族にも同じことが言えるのではないだろうか。 果たして、見ている世界、引いては関知している事柄は全てなのだろうか。見えてないところは無いだろうか。世界に、世論に、主観に、大衆に踊らされてはいないだろうか…
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