一九二四年 四月四日 果穂子

1/6
前へ
/232ページ
次へ

一九二四年 四月四日 果穂子

佐伯果穂子(さえきかほこ)の生涯に就て云へば一ツ二ツ、辻褄の合はぬことが起ってゐる。 【一九二四年 四月四日 果穂子】 ひら、ひらりと揺れる。 金魚が泳ぐ。 水はどこまでも透明なのに、多くの人は水を絵に描くとき、何故青い色を使うのか。 水の冷たい清浄さが、寒色のブルーと重なるのか。 金魚はそのつめたさに抵抗している。燃えるような赤い色を纏ってひら、と花のような尾をゆらめかせ、水を発熱させようとしている。     
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加