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健が明日香と出会ったのは、実は最近。半年にも満たない。
だけど、明日香はずっと一緒にいたことになっている。
小学校時代の友人の中では、その時代から、中学校ではそのとき、からというふうに。健との関係性によって、明日香と出会う時期は変わるのだ。
記憶の改ざん。
ある日突然目の前に現れた明日香という少女は、次の日には空き家だった隣家に住んでいた。
今でも覚えている。あれは、ここ百年で一番月が近くなる、という日だった。
健は中学の友達と共に、街はずれの丘の上で、その瞬間を写真に収めようと、待っていた。
「あ! 見ろよ! あれ!」
空一面が明るかった。いつの間にこんなに近づいていたのだろう。
花火よりも大きい月が、健達の真上にあった。
しかもただの月じゃない。七色の光が渦巻くように月を囲んでいる。
「ぶつかる!?」
思ったときには、視界はもう真っ白で、何も見えなくなっていた。
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