1人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝。いつの間にベッドに移動したのだろう。
寝巻のスウェットにもきちんと着替えられている。
アラームが鳴る前に目覚めた健は、昨日とは打って変わって軽い体に気分が良くなった。
カレンダーに目をやる。
12月28日。昨日はピーターパンの日だった。
母が好きな童話だから覚えている。小さい頃は仮装して、よく母を喜ばせていたものだ。
今はもう中学生だし、もちろんそんなことはしないが、毎年家族で一緒にアニメを見るのが習慣だった。
昨日だって…あれ? 見たんだっけ? 一緒に。
その後、うたた寝してしまって、起きたら母と明日香が夕飯を食べていて…。
たぶんそう、いつも通り。父は仕事で遅くまだ帰っていなかったが、母と明日香と三人で見たはずだ。
明日香の家は共働きで、健の家で過ごすことがよくあった。
本当は娘が欲しかったらしい母は、実の息子より可愛がってるんじゃないかとの疑いがある。
クリスマスも誕生日も、一人になってしまう明日香のため、盛大なパーティーを開いていた。
今年だって、やったはずだ。そう記録されている。
……記録されている?
何となしに浮かんだ言葉にひっかかった。
「まぁいいや。後で明日香にでも聞いてみよう」
健は着替えると、朝食を食べるため、一階のリビングに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!