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蘇我邸を出たあとはそろって有吏館に戻った。
だれもが昼食のお預けを食っていて、ヘルパーの鳥井と町田が作ってくれていたおにぎりで軽く空腹を満たした。
その後、主宰たちはまた会議に入った。
結局は、今回の集結は今後についての議題に変わり、明日は平日というのに主宰たちは表の仕事そっちのけで今日も泊まりだという。
その会合の間、叶多は千里をはじめとした夫人たち、それに従姉妹たちと、“大丈夫”というやり取りを嫌というほど繰り返した。
頼、そして電話をした陽には散々叱られ……いや、罵倒され、ユナには大泣きされた。
ユナが泣くことなんてめったになく、叶多は本当に後悔した。
てんでバラバラの髪は美咲によって修復された。
ただし、散髪の出来は応急処置並みだ。
耳下までという初ショートの自分を鏡で見た感想としては、一段と幼い、だ。
どうみてもボブじゃなくおかっぱに見える。
エレガントに、なんて少し期待しただけにがっかりした。
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