彼の欲しいもの

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「センセ、どうしたの。ぼーっとしちゃって」  のど飴をころんと鳴らしながら覗き込んでくる顔に驚いて、我に返った。  ──我がクラスの華、琴平珠理奈(じゅりな)。  そばに来たのが彼女であることにほっとしつつ、笑顔を返す。  うちの高校の生徒はこの数年本当に優秀で、いじめや人間関係の目立った問題はなかった。  多少の小競り合いはあるようだが彼らの社会性を尊び、問題が表面化するまで大人たちは手を貸さない。  それは決して見て見ぬふり、というわけではない。  要するに平和なのだ。  そんなわけで今年度のクラス替えも、基本事項である成績の平均化をメインに割り振られた。 .
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