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だって、航平さんだってお兄さんみたいなものなんだから、”お兄さん”だと区別しにくいし。
「いいよ」
照れくさそうに鼻の頭をかきながら、行成さん……ゆき兄さんは頷いてくれた。
この時、私は単純に、お兄ちゃんができたことにワクワクしていた。
親以外で、頼れる年上の存在ができたことは、少しだけ、私の重荷を軽くしてくれるような気がした。
後で、このことが自分を苦しめることになるなんて、想像もしていなかった。
それから、毎月の面会日の時には、たまにゆき兄さんも一緒に来るようになった。
真理子さんと航平さんは、来たことはない。
だから、私はお父さんを、そして時々はゆき兄さんも、独り占めで来たんだ。
面会から帰ると、お母さんは必ず、私に訊く。
「お父さん、私の事を何か言っていたでしょう?」
それは、聞いてきたことが前提の、質問ではなくて確認。
だから私は、頷いて答える。
「元気でやってるかって」
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