75人が本棚に入れています
本棚に追加
/454ページ
会計事務所でのバイトが始まった。
まず、所長先生を含め、ベテラン会計士さんが二人。
桜井さんは現在、資格取得のために勉強中とのことだ。
あとは、営業兼事務といった感じの男性が一人。
もう一人、女性の事務員さんがいるらしいんだけど、現在、ぎっくり腰で療養中とのことだ。
「仕事の事は、本当はその木原さんに聞いてもらうのが一番なんだけど、まだ今週いっぱいは無理らしいから、その間は、俺が教えるから」
と、桜井さん。
私は、心の底から、早くその木原さんが復活してくれますようにと願った。
桜井さんから教わるのは、恐れ多いというか、腰が引けてしまう。
「俺がいない時は、この人に聞いて」
と指されたのは、営業兼事務の、河野さん。
「どうもー、河野です」
ヒラヒラと手を振りながら答える様は、どうも軽い感じがする。
茶髪と言ってもいいくらいに明るい髪をサラッと揺らして、笑うと八重歯がのぞく。
「プライベートなことでも、任せてくれたらいいよ」
「こういうのは聞かなくていいから」
ビシッと切り捨てて、桜井さんは説明にかかった。
軽いノリの河野さんもどうかと思うけど、やっぱりこの人は怖い。
最初のコメントを投稿しよう!